2 0 0 7 年 度 一 学 期
Q&Aろう教育・文化
 


 





 ろう児が、聞こえる人と同じように話したり聞いたりできるようになることを目標にして、教育が行われてきました。しかし、その結果は全体として成功しているとは言えず、日本語の読み書きの力も不十分です。そこで最近は手話が取り入れられています。けれども、その手話はろう児によくわかる日本手話ではなくて、日本語対応手話です。日本語を話しながら手話の単語を示すという方法です。



 日本手話は、日本語とは別の、独立した言語です。独特の文法体系をもっていて、日本語とは語順が違います。手の形・位置・動きに意味があるだけでなく、肩の向き・うなずき・顔の表情・眉や口の動きなどにも文法的な意味があります。これに対して、日本語対応手話は、日本語の語順で手話単語を並べるだけなので、手話としては文章になっていません。だからろう児には理解しにくいのです。



 多くの先生は、手話ができるかどうかに関係なく、ろう学校に採用されたり転任してきたりしています。ろう学校に来てからも、先生が手話について学ぶ場がきちんと保障されていません。ようやく生徒と手話でコミュニケーションできるようになった頃には、他の学校に移り、また手話を知らない先生がやってくる…この繰り返しが大きな原因となって、授業の進度が遅れています。



 日本の場合で言えば「日本手話と日本語(おもに書きことば)」という二つの言語を使ってろう児を教育すること。日本手話は、かれらの母語となる言語であり、すべてのろう児が自然に容易に確実に身につけます。それを土台にして日本語の読み書きを学ぶことによって、子どもたちの理解力・言語力・学力が年齢相応に発達します。世界のバイリンガルろう教育が、このことを証明しています。



 北欧では20年前から、アメリカとカナダでは15年以上前から、バイリンガルろう教育が行われています。ろう児はろう者の手話を使うことで自信をもって学習に取り組み、試験で聞こえる生徒と変わらない成績をおさめたという報告も出ています。今ではアフリカ、オーストラリア、中国、モンゴル、ネパール、タイ、ベトナムなどでバイリンガル教育のプログラムが実践されています。



  ろう者と聴者は違う文化をもっています。それぞれの文化は歴史的に受け継がれ、無意識に身につけているものです。どこがどう違うのでしょうか。例えば、使っている言葉、呼びかける方法、どんなことを失礼だと思うか、どんな芸術やスポーツを好むか、などが違います。この違いを知らないと、ろう者と聴者が理解し合うことは難しくなります。だからバイカルチュラル教育も大切なのです。

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