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おとうさん、おかあさんのための手話文法講座<手話動画>

第8回目 <いろいろな否定文-1>

―動詞の否定形―

今までいろいろな種類の疑問文を勉強してきました。今日は否定文を練習してみましょう。まず、単純な動詞の否定形の作り方です。「見ない」「行かない」「食べない」などです。これらはすべて動詞「見る」「行く」「食べる」に否定形の「ない」をくっつけたものですね。そしてすべて話し手の意志を表しています。「食べない」のは「(食糧がないから)食べられない」、「(熱が高くて食欲がないから)食べられない」のではなくて、食べたくないから<<食べる気持ちがないから>>「食べない」のです。この片手の「ない」は動詞とともに用いられ、否定形をつくります。そして全ての動詞とともに使えます(例:「寝ない」、「読まない」、「言わない」などなど)。でも、もともと動詞が両手を使う形をしていると、たとえば<作る>のように、その否定形も両手になります。

次に意志の否定ではなく、可能性の否定の例を見てみましょう。たとえば、先ほど出てきた「食べられない」。<食べる>と<無理・難しい>からできています。同様に、「着られない」<着る+無理>、「読めない」<読む+無理>、「寝られない」<寝る+無理>などと表現します。否定形ではなく、肯定の形にしてみるとそれぞれ<着る+できる>、<読む+できる>、<寝る+できる>と表すことができます。<できる>の部分は他の可能を表すことばに変えることができます。<OK>、<スムーズ>、<深く>などと結び付いて、「サイズが合っていて着られる」「無理なく読める」「熟睡できる」などとなります。

一番よく使われる動詞が不規則変化をするというのはどのことばでもよくみられることですが、日本手話でも「見えない」「聞こえない」は特別な形をもっています。障害物があって「見えない」、また「私は耳が聞こえません」という時に使う「聞こえない」という形があります。

次は経験の否定です。「~したことがない」。<食べる>で続けると、<食べる+「コト」+ない」>か<食べる+経験+ない>となります。同じように<読んだことがない>、<行ったことがない>などと同様に作ることができます。これも<見たことがない>は特別な形を持っています。

「~したことがない」ということは「まだ~していない」と大体同じ意味ですね。「食べたことがない」というのは今まで「食べていない」ということですから、「まだ食べていない」<食べる+まだ>と表すことができます。完了していない、つまり完了の否定と言えるでしょう。この際、語順は<食べる>が先で<まだ>が後になることにご注意ください。同様に「読んでいない」<読む+まだ>、「行っていない」<行く+まだ>と表すことができます。

次に必要性の否定を見ておきましょう。「食べる必要がない」「読む必要がない」などの形です。これには<必要>という形から派性した<必要ない>という語を用います。1語で表現できます。

最後に「廊下は走らない」と先生が生徒をしかるような場合はどうでしょうか。今まで出てきた「ない」の表現で大丈夫ですか?この「走らない」は「走るな」つまり否定ではなく、禁止ですね。ですから<走る+ダメ>と表現します。 では、次回も否定の続きです。お楽しみに。

掲載日/2010/10/13

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