- シリーズ13回目
<国際手話とは> - シリーズ12回目
<自然言語とは> - シリーズ11回目
<学習の転移とは その2> - シリーズ10回目
<学習の転移とは その1> - シリーズ9回目
<日本手話の「生活言語」と「学習言語」> - シリーズ8回目
<生活言語と学習言語> - シリーズ7回目
<ろう児をバイリンガルに育てるには> - シリーズ6回目
<ろう児はどうしてバイリンガルになる必要があるのか> - シリーズ5回目
<聞こえるこどもの第一言語習得> - シリーズ4回目
<第一言語と第二言語> - シリーズ3回目
<ろう児の第一言語獲得> - シリーズ2回目
<母語と母国語> - シリーズ1回目
<バイリンガルろう教育の概要> - ごあいさつ
シリーズ7回目 <ろう児をバイリンガルに育てるには>
さて、子どもが聞こえないことがわかって、では日本手話と日本語のバイリンガルに育てようと思ったとします。
まず、何をしたらいいでしょうか?聞こえる子どもがごく当たり前に日本語を覚えるように、ろう児がごく当たり前に手話を身につけるにはどうしたらいいでしょうか?それは手話の環境の中で育つことですね。家族全員がろう者な場合、あるいは家族にろう者がいる場合には、それほど難しいことではないでしょう。
しかし、9割以上のろう児が聴者の家庭に生まれることを思い出して下さい。その子の周りに手話の母語話者はいますか?いませんよね。多くの聴者の親にとって、自分のこどもが初めて出会うろう者です。成人して、普通に社会生活をしているろうの大人や、ろうの小学生、中学生や大学生に出会ったことはないのです。だからその子が大きくなったときの姿が想像できません。聴の子が自然に日本語を獲得していくように、ろうの子も自然に手話を母語として獲得していくのだ、そしてその言語で学校に行き、社会生活が送れるのだ、ということが理解できないのです。
ろう者の家庭(デフ・ファミリー)では、日常生活に必要な手話は自然に獲得されます。しかし、今までのろう学校では手話は禁じられていたため、学校で手話で授業を受けたり、学問に必要な手話を学んだりする機会はありませんでした。
たしかに、2008年に手話で授業をする明晴学園が設立され、幼稚部と小学部は手話で学べるようになりました。また、2010年に中学部が開校すれば、中学までは手話で学ぶことができるようになります。しかし、日本にはアメリカのギャロデット大学のように、手話で勉強し、学位がとれる大学はありません。
聴者の家庭に生まれれば、手話を自然に身につけられる環境にないので、たくさんの手話の中で育つ環境を親がなんとか用意しなくてはなりません。また、ろうの家庭に生まれたから問題ないと安心していてはいけません。生活のための手話(言語)と学習のための手話(言語)とは別のものです。では次回から何回かに分けて、生活言語と学習言語についてお話していきましょう。



