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《CLとは》

 

CLということばを聞いたことがありますか?

手話の世界ではかなり広まってきた言葉だと思います。

CLというのは英語のClassifierということばを縮めたことばで、「分類するもの」という意味です。日本語では「類別詞」などと呼ばれます。似た者同士を集めて一つずつ別々のクラス(グループ)を作って行く感じです。

たとえば、日本語で鉛筆を数えるときは何といいますか?1本、2本と数えますね。 動物は1匹、2匹、でも象のように大きな動物は1頭、2頭ですよね。鳥は1羽、2羽。でもウサギも1羽、2羽って数えるんですよね・・・。だんだんわからなくなってきました。この数え方というのは日本語の中でも大変難しい分野で、外国人は本当に苦労します。

それと同じように、手話では鉛筆のように細長いものはこのように表します。

これとこれ。違いがありますか?同じですか。どちらも棒状のものですが、こちらは木でできたような軽いもの、こちらは鉄製かなにかのように硬いものです。おなじ四角い形状のものでも、紙のようなヒラヒラしたものから厚みのある額縁のようなものまで、質感が違いますね。

CLは手話の一番基本的な部分を作っています。

物の形を表す名詞にもなるし、重い/軽いや遠い/近いを表す形容詞にもなるし、動作・行動を表す動詞にもなります。たとえば、自転車のスプロケットを交換したい、というような話の場合、「スプロケット」ということばが分からないと聴者にはなんのことを話しているのかわかりませんが、手話で表せば、歯車のことだと分かりますよね。階段という名詞になったり、階段を上るという動詞になったりします。

CLが手話の基本にあるので、それをきちんと使えば、世界中のろう者と話が通じます。以前聴者で手話を学習した人とヨーロッパに行ったことがあります。その時の話なのですが、 その人は、日本語の「食べる」という語を日本手話の/食べる/という語彙として覚えていて、外国人のろう者に対しても「お昼ごはん食べる?」とついつい日本手話の/食べる/で表現してしてしまいました。ところがこの/食べる/は箸で食べるという動作を表しているので、箸を使わない文化圏のろう者には通じません。しかし、「食べる」という動詞は「スプーンで食べる」、「手で食べる」という形の方がより基本的な意味に近いですね。手話力の高い人ほど、CLが自由に使え、世界中で通じる表現ができます。CLと固定語彙の間を自由に行き来できるようになるといいですね。