手話の種類?

手話って種類があるの?

一般に日本で手話と呼ばれているものには「日本手話」と「日本語対応手話(手指日本語)」があります。日本手話はろう者の集まりができて、自然発生的にできてきたもので、ろう者の集まりはろう児が通うろう学校ができたことで始まったと言われます。日本で初めてのろう学校は明治11年(1878年)に設立された「京都盲亜院」です。それに対して、日本語の文法に合わせて手話表現を並べた日本語対応手話は1960年代半ば以降に手話講習会等で聴者が手話を学ぶようになったことや、栃木聾学校が教育目的で開発した同時法的手話から広まっていきました。対応手話は日本語を話しながら表現されることが多いですが、声を出さない人もいます。これらはどちらも手が動いているということから、手話だとみられますが、日本語を点字であらわすと、点字語という別の言語になるわけではありません。それが点字で表された日本語であるのと同じように、日本語を手であらわしたものは、日本手話になるわけではなく、手で表した日本語(手指日本語)になります。しかし、どちらも聞こえない・聞こえにくい人たちにとって大切な言語です。

日本手話と日本語対応手話は何が違うの?

日本手話は、日本語とは別の独立した自然言語です。独特の文法体型をもっていて、日本語とは語順も違います。手指動作は手の形・位置・動きで構成され、手以外のNM(Non-Manual Signals/非手指動作)に文法的な意味があります。手指動作が同じでも、肩の向き・うなずき・顔(眉、目、口)の動きなどによって意味が異なります。また、ものの形や動きをそのまま手で表現するCL(Classifier/類辞)、話者が現在の話者以外の他者(過去/未来の話者も含む)の発言を引用して伝えるRS(referential shift/指示対象シフト)、人称や代名詞として使われるPT(Pointing/指さし)という独自の文法があります。これらは、ろう者の間から生まれて発展した目で見える文法表現で、日本手話は聞こえにくい・聞こえない子がストレスなく獲得できる言語です。

※文法については、当サイトの「お父さん、お母さんのための日本手話文法講座」、または書籍「文法が基礎からわかる日本手話のしくみ」をご覧ください。

日本語対応手話は、日本語を手や指で表すもので、主に難聴者や日本語を習得した後で手話を学んだ人たちが使っています。音声で話をしながら、その語順に従って手話単語や指文字を表現します。教育目的での日本語対応手話は栃木聾学校の同時法を起源とし、聞こえる先生たちによって作られました。名詞や動詞のような単語の意味は伝わっても、単語と単語の関係を示す助詞は省略されることが多く、正確に文の意味が伝わりにくいため、ろう児には理解しにくいものです。日本手話との違いはCLやRSといった文法表現がないことです。

歌詞に手話単語(手指表現)を合わせて歌う手話歌や手話コーラスは、日本語対応手話の延長といえます。